レンタルニート仲が体験したニートたちの生活の実態

なかさま

今回の特集記事のテーマがよいので参加したいと思う。そう、なんたって職のない我々ニートたちに今後必要なのは現代社会を生き抜くスキルなのだから! 自分が「ニート株式会社」(ニー株)に参加し「レンタルニート」を始めて10年以上経つが、この、会社と言いながらぜんぜん商売してない集団に所属している間に出会ったニートたちの生活の実態や、自身が体験したこれまでの収入のことなどについて書いていこう。

■ ニートといっても実際、収入源が必要

以前ニートマガジンVol.2なんかでも書いたんだけど、こうしてニー株をはじめとしたニート系コミュニティに参加してみると「ニート」のいろんな実態が浮かび上がってくる。そりゃあ仕事のないニートといっても実際には生活費やおこづかいが必要なので、自称ニートの人々の実態としては短期集中のバイトとかで「たまには働いてる」みたいな人が多い。それ以外には実家が太い人や、障害年金や生活保護を収入源としている人など。

ほとんど仕事経験のない引きこもりタイプのニートも多いことは事実だろうけど、その人たちはつまり社会に属していない度合いが強いということであって他からは観測できない。いたとしても俺たちにも実態がわからないのだ。こちらから観測できる範囲では、5年以上とか全く職を持たず一貫してニート生活を続けるような人は少ないということになる。ニー株やニートマガジンのメンバーなど「コミュニティに参加するという一歩」を踏み出せている人たちはまだ比較的アクティブなニートであるということだろう。

■ ニート界隈にいて観測したニートたちの実態

ニートの分類を今までに自分が出会ったニートたちの様子からもう少し詳しく例に挙げていこう。

たまにだけ働くニート

多くの層はおそらくこれ。1年働いて貯金してその後しばらく何もせず過ごすとか、単発のバイトだけたまにやるとか。また、意気込んで職につくけど結局数ヶ月で辞めてニートに戻るとか。そしてニート生活を続けていてもいずれ時間の経過によってなんらかのきっかけが発生し、その後安定して仕事に就きニートを脱する人も多い。

ニートを脱するきっかけとは例えば実家ぐらしで年齢を重ねていいかげん親から圧力をかけられたときや、ヒモニートが彼氏彼女と別れそうになった時、そして実際に別れた時などだ。こういう人間関係の変化によって働き始めるというような例は多い。

実家が太いニート

度合いによるけど、ニー株の歴代メンバーやレンタルニートのいままでの利用者の中には「金持ち」というレベルで実家が太く、どうやら遊ぶ金にも困らず働く必要がないらしい人もいた。親が会社役員やその他経営者、親が不動産をやっている、親が政治家など様々。

こういうのは「いい年して親からおこづかいをもらっている」と取ることもできるが、実態を聞くとちょっと納得がいく。たとえば次のような例だ。

  • 親が税金対策で作った会社の役員になり役員報酬をもらっている
  • 親が経営する会社の業務を一応ちょっとだけ手伝い、給与を受け取っている
  • 生前贈与として年間あたり数百万円ずつ口座に移してもらっている

など。これらはどれも税金対策でもあり、こうして具体例があると「親が子に金を与えている」といえどしっかり正当性が感じられる。さすが金持ちは賢い。本人が40代ぐらいの年齢でもこのような状態にある人がちょくちょくいて、いずれ遺産も手に入ることを考えるとこのように一生働かなくてもいいらしいニートも実際のところ存在する。「実家が太い」は才能。

障害年金や生活保護ニート

昨今ネット文化の浸透によって可視化されてきたが、様々な発達障害や精神疾患、メンタルヘルス系のニート界隈。主にこうした病気の症状から障害年金や生活保護によって生活費を獲得し、ある意味では安定したニート生活を送っている人々。これもまたそれぞれの事情によるが、まっとうな職を得てこの状態から脱することはなかなか難しい。

当事者たちと関わってきたからわかるが、本人はこれら病気の症状によって他人との人間関係を保つことが苦手な傾向があり、他者から反感を買ってしまったりする。そうして他者との関わりを絶ち、音信不通で生死不明になったりもする。今回の特集のテーマとしては、金銭だけじゃなく生活のためには他者との関わりは持っておくことを促したい。

なんらかの商売を小さくやっている自称ニート

サイト運営や動画配信などによる広告収入、Kindleやnoteでの書籍や文章販売、同人活動やイラストレーションによる収入など、職業というにはやや弱いものの主にネットを使って月あたり数万円ほど稼ぐ人々。俺自身も実際のところこれ。遊びに付き合う「レンタルニート」をやっているほか、ゲームの代行業をして最近では月収10万円前後稼げることも増えてきた。

度合いによるが実際のところニートなんだか仕事してるんだか微妙な存在。しかし、「ニートたちの起業」をテーマとしてニート株式会社に参加した身としては、目指すべきはこれだと思っている。それぞれが自分自身で仕事を身につけ、一般的な労働社会に頼る必要がなくなったほうがよい。

その他、株とかFXとか仮想通貨とか、投資で暮らす人々などがいるが、「資産運用」といった言葉は最近は一般的な労働者や「FIRE民」に浸透しているのでわざわざ分類しないことにした。FIRE民はニート要素あるが、直近に広まってきた文化なので自分の周囲に良い例はおらず、まだその経過もわからない。意外とすぐ飽きてしまって再び働き出す人もいるというが。

■ 自分の収入体験 ヤフオクをきっかけに

ところで自分自身の収入源としては、21歳以降は一切バイトや雇われ労働をしていない。大学生のとき地元のレンタルショーケース店のバイトを数ヶ月だけやったのが最後だ。その後ニー株に参加してからもずっと、金がなくて困ったときにやることといえば主にホビー関連グッズの中古品をネットで売ることだった。俺は大学を留年して6年通ったのだが、親におこづかいももらえなくなったその頃から金を得る手段として使っていたのは「ヤフオク」だった。まだスマホもあまり普及しておらず、メルカリもない時代。

売っていたモノは家にあったおもちゃ類。元々レトロゲームやアニメ関連グッズなどを割と大事に取っておくタイプだったので、スーパーファミコンソフトとかデジモンシリーズ(たまごっちのような電子ゲーム系)とかを箱付きでヤフオクに出品することでモノにより1つ数千円程度で売れたりした。このわずかな商売がとても楽しく、やりがいがあった。中古品の市場相場を調べるのは今ほど簡単ではなかったが、ヤフオクの落札データを検索できる外部サイトなどを使って部屋の不用品の相場を調べていった。眠っていたものに価値が見いだせるような体験であり、出品作業は捗った。価値がつかないと判断がついたモノは踏ん切りをつけて捨てることができたし、部屋の掃除にもなったものだ。

■ 得意なことはプラモデル製作です

そして大学留年時代から今に至るまで大きな体験だったのはプラモデルの塗装済み完成品を売ること(主にガンプラ)。これもまたヤフオクに出品していたのだが、これは大学の模型サークルでエアブラシ塗装などを含めた本格的なプラモ製作をやっていたことで技術力が身についていたのがきっかけ。その後の収入源にもなった。

ガンプラ完成品の出品ページから質問が入り、個別に製作代行の依頼が入ることもあったので、その後個人に対して有料で製作依頼を何度も続けて受け付けていたこともある。これはニートになる以前の大学生活の間に始めたことだったが、その後もニー株に入ってからプラモデルの製作代行依頼を広く受け付け、一時期暮らしていたシェアハウス生活時代の収入の助けにもなった。

これらの過去作をブログにまとめていたところ実績を買われ、プラモ製作代行の専門会社から委託の依頼を受けて数回製作したときもあった(これは現在「プラモデル製作代行」とググればトップに出てくる人気業者だ)。どうやら要求される技術力はクリアしているらしいことはわかったが、普段のこちらの料金体系で受け付けて製作したところ、結局そんなに時間効率のいいものではないという結論に至った。時給換算で1000円に達していなかっただろう。ちなみにガンプラのMGモデルを塗装まで一通りやって4万円。人気業者らしいのでもっと全然高い値段を提示してもよかったのかもしれない。ただ、これは自分の中で技術力が専門会社の仕事をするに足るものであったという事実であり、自信につながった。自己評価での実績ではかなり上位。

■ 仕事を作り出すためなら借金もあり

ところでプラモデル製作代行をやるに際し、エアブラシやコンプレッサーなどの周辺機器が6万円前後かかった。元々簡易的な機材は持ってたけど、大学のサークル部室に置いてあったものと同等の機材を揃えるのには少し金が必要だった。長期的にバイトした経験などないので蓄えは全くなく、そのとき機材を用意した方法はクレジットカードのリボ払いであった。愚かな行為だと思うことだろう。しかしこれは大学在学中にサークル部室の機材で作った作品を売って手応えを感じてからの決断であり、こうして収入を作るための借金とは時には必要な行為だと考えている。なんかそうやってやりたいことのためにリスクを負ったときのほうが心が活性化される実感がある。覚悟もキマる。

その後バイトは一切せず、残高は主にこのプラモデル製作によって払いきった。リボ払い=バカの所業という風潮はあるが、総額10万に満たない支払いであれば利息はたかが知れている。収入を得るための道具に投資するのであればありだ。

最近そろそろまたそういうリスクを負って心を活性化させたい時期がきていた。今年、ゲーム代行事業で来ている依頼を成立させるため、貯金もないままPS5(7万8000円)をカード決済10回払いで購入した。ちょっとそういうバカを演じてtwitterで笑いを取ろうかなという狙いもあったのだが、このときもすでに来ている依頼が総額3万円であり、リピート利用してくれている人の依頼だったので、一応先を見据えて計算をしたつもりではあった。おかげでPS5必須となる依頼はその後1ヶ月半ほどで本体代相当の売上を得て、すぐに元が取れた。

ちなみにだが、そうやって払い切るには余裕があるときにしっかり繰り上げ返済をするような強い意思が必要だ。過去2つの体験では期待通り収入が得られたときはちゃんと多めに払って予定より早期に完済した。リスクを負うといっても大マジメにやる必要はある。カード決済で失敗しがちなニート界隈においては注意喚起をしておきたいところ。金を得たら調子に乗ってほかのことに使っちゃうに決まってる。

まぁいい年した大人の借金としてはホントにたかが知れている低レベルな話だとも思う。事業のため数百万の借金をする話だってふつうの感覚なら当たり前だ。しかし貯金も、確たる収入源もないニートにとっては割と決断なのだ。こうして、やろうとすれば学生時代に作った限度額20万円のクレジットカードでも出来ることは多少ある。

その後もヤフオクやメルカリ出品は変わらず今でもたまにやっている。レンタルニートのお客さんに勧められて古物商許可証の免許は取得しているので、いずれ何か中古品販売を本格的にやりだす可能性はあるかもしれない。

■ 人とのつながり、遊び相手がいること

「生活」の中で必要だと強く感じているのは人とのつながり。長い間ニート生活をしながらも心身の健康を保てているのは、家族や親戚との関係が良好であったり、遊べる友人がいたりするおかげだ。ニート生活をしていると当然ながら仕事という、ほとんどの人にとって一番の外出の動機となる用事が発生しない。「たまに散歩に行く」とかは外出の動機としてぜんぜん弱い。なんらかの「行かない」理由が発生すればそれがいずれ積み重なって外出の頻度は減り、いつもと同じワンパターンで変化のない生活を送りがちになってしまう。やっぱり誰かと予定を約束して会いに行ったり、イベントに参加したりする日常がないといずれ健康を害したり、あっという間に日々が過ぎてしまうだろう。

ニー株やニートマガジン、主にネットのコミュニティの中でオフ会のようにちょくちょく集まって人と喋ることは大事だ。有益な情報を得られたり、みんなも意外と苦労していることがわかったり、知っている人が変わらずいつも通りの生活をしていたりする。そういうのを見ると心が和む。

ニート系コミュニティでいいところは、平日に出かけられる遊び相手がいること。普通の一般的社会人が友人にいたとしても、平日昼から一緒に出かけて遊べるような存在はなかなかいない。これは自分自身が「いつでも遊びに付き合えるレンタルニート」を始めた理由そのものでもある。

複数のコミュニティに属しておくことも大事だと思う。自分の場合は地元の友人との関わりが結構あり、中学時代の同級生と今だにちょくちょく集まっては飲み会をしたり、遊戯王カードで遊んだり、キャンプに行ったり、ドライブに行ったりする。休日に県外まで遠出して深夜やっと帰ってくるようなことがよくあったが、遠くまで出かけるような機会の少ないニートにとってはよい気分転換だろう。自分の生活をよく理解してくれている友人たちなのでヤフオクやメルカリで中古品販売をしている件についても伝わっていて、共通する趣味のゲームとかプラモとか、いろんな不用品を売って金にするという前提で譲り受けるような機会も多かった。

■ まとめ 働きたくないわけじゃない

はい、これたぶん同じことを考えているニートも多いと思うのだが自分は別に働きたくないとか思っていない。長時間労働・低賃金の社会に順応したくないだけであって、自分に納得のいく仕事を1から作り出そうと思い就職せずにいる。ニー株参加の動機もそれであり、自分自身の仕事で忙しくなる分にはかまわない。要は負担に対し給料が割に合ってない現代の労働社会に抵抗していきたいという立場なのだ。

長らくニート株式会社をやってきたが、その組織のあり方はともかく、レンタルニートから派生して始まった俺自身のゲーム代行業は割とまともな収入になってきていて、諸々の収入を合計したとき今年1月にはじめて月収10万円を突破して大喜びしたものだ。今年はついに年収100万円を突破する見込み。これはバイトやパートタイムで真面目に働いている人の収入に匹敵するのでもはや立派な仕事というしかない。

ちなみにそのゲーム代行業で特に人気なのは、FF10の「とれとれチョコボ」である。人によってはいくら時間をかけてもクリアできないこの高難易度ミニゲームを1回5000円で代行するというもので、クリアすればその後の攻略に役立つレアアイテムが手に入る。直近数ヶ月でも数十回の利用があった。需要はもう間違いないと思っている。慣れている自分ならば早ければ5分で終了できるので、レンタルニートやプラモデル製作代行とは比べ物にならない稼ぎ効率である。

収入が結構増えたとは言ったが、実は仕事時間はそう負担になるほどに達しておらずまだまだ余裕があるのだ。これを自信に、さらに別の仕事を考えて追加していきたいと思っているところ。

そしていま、その仕事がとても楽しい。いろんなゲームのいろんな課題を頼まれて、自分で攻略情報を見ながらクリアを目指すのが自分の生活を助けている。依頼主が「自分では出来なかったこと」なので感謝もされるし、素早くクリアできたことに称賛も受ける。そしてこれを、自分でできる範囲のペースで実行し、無理はしない。現代の仕事とはこうあるべきじゃないのか。

生活どうしていくかという話題に対し、「ニートからのわずかな起業」というようなテーマでお送りした。上記いろんな経験が、上手くいかなかったことも含めその後に生きていると思う。今後もこうして、就職しなかった場合に生きていくための方法をレビューしていけるようでありたい。

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