ニート、沖縄へ行く

レモン

■ 一日目

飛行機に乗り、二時間かけて那覇空港へ着いた。飛行機から降りた途端、生暖かい空気に包まれた。ちょうど雨が降っている。沖縄が高温多湿な気候であることを体感で思い出す。普段暮らしている場所より明らかに蒸し暑かった。

那覇空港を探索し、送迎バスに乗ってホテルへ。空港にはレンタカーやホテルなど様々な施設へ向かうバスが乗り入れていて、目的のバスを探すのが大変だった。

■ 二日目

シュノーケリング場所まで、三十分ほど小型の船で移動した。台風が過ぎたばかりで海はそこそこ荒れており、波が激しかった。揺れの激しさと海に反射した太陽光で気分が悪くなり、酔い止めを飲んでいたのに船酔いをした。

船から見える海は、着色料を混ぜたみたいに鮮やかな青色だった。水色と青色の間のような色でとても綺麗だった。

船酔いで調子が悪かったため、十数分だけ海に入った。シュノーケルの水中ゴーグルで海中を覗くと、底の方にサンゴ礁が見える。近くにエンゼルフィッシュが泳いでいた。

船に乗っている間、ずっと波による揺れが続く。移動中もシュノーケリング中もずっとしんどかった。十人ほどの客のうち、数人が同じように船酔いで苦しんでいた。

「海に入って南国の魚を見る」という旅の一番の目的は果たせた。想像していたより大変だったけれど。

港で船から降り、ホテルまで歩いて帰った。ヤシの樹が生えた道路沿いを歩いていると、ドサッと音がして何かが落ちてきた。見ると、枯れたヤシの葉が一房転がっていた。怪我がなくてよかった反面、貴重な体験ができたと感じた。

グーグルマップを見ながら浜辺に沿って歩いていると、お茶専門チェーン店のゴンチャがあった。タピオカ入りのパッションフルーツティーをテイクアウトした。浜辺で海を見ながら飲もうとしたが、急に激しい雨が降り出したので、急いでホテルへ走った。

部屋へ戻ってタピオカを飲んだ後、そのままホテルのプールへ向かった。プールエリアには長方形のプールと日差し避けのある休憩所、水着のまま入れる温泉のようなジャグジーがあった。ジャグジーで疲れを癒した後、プールに入った。シュノーケリングを楽しめなかったのが悔しくて、たくさん泳いだ。数年間全く泳ぐ練習をしていなかったという準備不足も後悔していたので、小中学校で習った泳ぎ方を片っ端から復習した。足が底に付く、波のない水中では案外楽に泳ぐことができた。背泳ぎをした時に、部屋窓がたくさんある、コの字状になっている建物越しに青空が広がっていたのが見えて綺麗だった。

泳いだ後は温泉に入り、部屋で眠った。夕方に目が覚めて、少し遠くのスーパーマーケットへ買い出しにいくことにした。雨が降っても大丈夫なように、レインコートを着た。

口コミで見た通り、スーパーの品揃えはとてもよかった。海鮮が豊富で、惣菜コーナーにも沖縄らしい料理が揃っている。お土産コーナーでは黒糖や紫芋味のお菓子や水でふやかす昆布のような海ぶどうが売られていた。どれも空港付近での観光地価格より安かった。さんぴん茶に至っては空港の自販機で三百円ほどで売られていたのに、スーパーでは百円もしなかったので面白かった。さんぴん茶はジャスミンティーに似た味で、値段に関わらず全部美味しかった。

ホテルに帰ってくると、ちょうど日没の時間だった。私は日の出や日没を眺めるのが好きなので、旅先に着くと位置情報を基に日の出と日没の時間を把握するようにしている。

部屋の窓から日暮れを眺めながら、買ってきた夕食を食べた。メニューは「くーぶいりちー」という昆布の炒め物、うま塩キャベツサラダ、ジーマミー豆腐、海ぶどう。咀嚼音の動画を見てからずっと食べたかった海ぶどうは、プチプチ食感で塩辛かった。付属のシークワーサーのたれをかけると、すだちのような柑橘系の風味が加わって美味しかった。

思い付きで行動するのが一人旅の醍醐味なので、夜は沖縄旅行案内の動画を見ながら明日の計画を立てた。市街地を走るモノレール、「ゆいレール」に乗って首里城、美術館と博物館が一体となった「おきみゅー」へ行くことにした。

■ 三日目

ホテルから三十分ほど歩いてゆいレールの駅に着いた。駅は高い位置にあるので階段を登った。ゆいレールからは街並みが見下ろせて、建物をたくさん見ることができた。駅周辺はどこも栄えていて、沖縄らしいオレンジ色の屋根もいくつかあった。

首里駅からひたすら坂道を登ると、首里城の城壁に着いた。敷地内に入ると自然が広がっていて、樹がたくさん生えていた。マツのような樹があり、調べてみるとリュウキュウマツという種類だった。暖かい地域にマツが生えているのが意外だった。

さらに城壁に沿って坂道を登った。道中は人が少なく、城壁にいる間は全く人に合わなかったので道が合っているか不安になった。その時、サイレンのような音がして、何かの警報が出されている説明の音声が数回流れた。

ようやく赤い門が見えてきて、スタッフの方が立っていた。赤い門へ続く階段まで行くと、すれ違った人が「地震だって」と話し合っていた。後で知ったのだが、カムチャツカ半島付近で地震があり、津波が来る恐れのため海に入るのを禁止する放送だった。

首里城は赤い建物で構成されていた。複数ある門や建物が暗めの赤色で塗られていた。

数年前に火事で焼けた箇所の復興が続いており、再建中で通行止めになっている箇所の近くに休憩所がある。その建物の中には復興の手順や状況について丁寧に解説した展示があった。

首里駅からゆいレールに乗り、おもろまち駅へ。おきみゅーへ歩いて向かう途中に公園があった。「NAHA」(那覇)の文字をかたどったモニュメントがあった。おきみゅーの近くまで行くと、草むらに紺色の羽の蝶々がいた。本州には無い生態系がある地域に来ているのだと、改めて感じた。

おきみゅーの博物館エリアでは、初めに沖縄の生態系、その後は日本の歴史の時間軸に沿って琉球の文化と歴史が展示されていた。まず生態系展示の迫力がすごかった。動画や模型で動物の生息場所や鳴き声を表現し、鳥やコウモリなどの小動物の剥製が大量に並んでいた。沖縄の地域でしか見られない珍しい動物がたくさんあってとても見応えがあった。

文化と歴史の展示では、琉球王国について詳しく解説してあった。古くから日本との交流があり、書物に多くの記録が残っていることを知った。ミニチュア模型があり、当時の人々の様子が想像しやすかった。住居や使っていた道具は等身大の模型で展示されていた。どれも馴染みのないもので、異文化を初めて見る感覚が楽しかった。戦争の記録もあり、白黒写真が多くあり、あまり時間が経っていないことを実感させられた。戦後に歌われた民謡の音声と意味を表したパネルがあり、聞いていると涙が出た。「もう二度とこのようなことがないようにお願いします」という訳が印象に残った。

美術館エリアでは、沖縄の画家の絵が多く展示されていた。海が色鮮やかだからか、明るい色が多かったように思う。オリオンビールなどの商業デザインも展示されており、見応えのあるラフ画が何枚もあった。

おもろまち駅から牧志駅へ。有名な観光地である国際通りへ立ち寄った。沖縄に本店があるアイス屋さん「ブルーシール」で沖縄パイン&チェリー味を食べ、ドンキで買い物をしていたら外が土砂降りの雨になっていた。数日間で、沖縄は短期間に大雨が降るものだと身をもって知った。雨宿りも兼ねてタコスが食べられる店へ駆け込んだ。タコスは豚ひき肉とトマト、レタスが入っていて、少し甘く、うま辛い味がした。タバスコをかけると更に辛さが増して、好みの味になって美味しかった。

■ 四日目

ホテルをチェックアウトして送迎バスに乗って那覇空港へ。

飛行機の搭乗時間までは三時間ほどしかなかった。動画で調

べた空港のおすすめスポットを急いで回った。

沖縄そばを食べ、パインソフトクリームとハンバーガーをテイクアウトした。那覇空港は国内線と国際線が繋がっていて、徒歩で移動できるようになっている。一階から三階まで駆け回ってお土産も買った。時間に追われている分、旅行の日程で一番慌ただしく感じた。

無事手続きを終えて飛行機に乗って地元の空港へ帰った。天候が晴れていたので飛行機の窓からの景色が良く見えた。紺色の海が広がり、サンゴ礁の周りだけ鮮やかな青緑色になっていて綺麗だった。

今回の沖縄旅行はトラブルが多かった。最も楽しみにしていたシュノーケリングは少ししか出来ず、酷く船酔いをした影響でその後は体調が悪かったが、来なければ良かったとは全く思わない。むしろ旅行で苦しい体験を楽しんでいる自分に気付いた。これからもどこへだって行けるという自信が付いた旅になった。

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